『生きる意味』について、第四回。
寝るときは、メインハイウェイから数百メートル、時には数キロ脇道に逸れて、なるべく夜中に走る車や大型輸送トラックの音や灯りが届かないところまで行く。
完全に暗くなる前に、その日の寝床を見つけなければならない。
夜は、あまり動物と対峙しないために、林から少し距離がとれて、開けたところがいい。

ハイウェイから道を逸れると、途端に柔らかい赤砂に変わる。
沈み込むタイヤ。
それを、気合いで漕ぎ進めながら野営場所を探す。
※ちなみに、オーストラリアの舗装路は、日本のそれとは違い、砂利道を走っているかのように目が粗いので、ハイウェイとはいえ、簡単には進めない。

今夜の寝床が決まったら、焚き火用の薪を集める。
パッキパキに乾燥した木ばかりなので、焚き火にはうってつけだ。
ここだけの話、
木がないところでは、ラクダの糞を集めて飯を作る。
オーストラリアの砂漠地帯には、約70万頭のラクダが生息している。
乾いた草食動物の糞は臭くもなく、よく燃えて、砂漠の旅では重宝した。

誰もいないオーストラリアのど真ん中で、満天の星空を眺めがら眠る夜は、最高の幸せを感じられた。
南の空には毎晩、南十字星が見えた。
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砂漠には動物だけでなく、いろんな虫がいるわけだが、
特に、昼間は蠅(ハエ)、夜は蟻(アリ)に悩まされた。
オーストラリアのブッシュにいる蠅の生命力は本当に凄まじく、自転車で走っていても、何百キロでも付き纏ってくるし、目・口・鼻・耳の中、、水分を求めて思う存分に入ってくる。
あまりの蠅の多さに、「ハエよけの帽子」を被っている人もよく見かける。

蟻は、やたらとでかくて、噛まれると猛烈に痛い。
そういえば、砂漠の町にいたゴキブリは世界最強にデカかった。

朝起きて、靴を履く前には必ず中をチェックをする。
ヤツがいるかもしれない…
第五回へ つづく
