人生観『生きる意味』⑹

『生きる意味』について、第六回。

地平線の彼方にうっすら見えていたものは、エアーズロックではなく、テーブル型をした大きな岩山だった。。
エアーズロックに近づくと、このような岩山や渓谷がたくさん出てくる。

気を取り直して、前へと進む。

ここでようやく、ひたすらまっすぐに走り続けてきたスチュアートハイウェイを、エアーズロック方面に向けて左折する。

ここから約300kmほど、

車なら3時間、自転車で2泊3日!

そして食料も底を尽きてきた三日目、
とうとう間近に見えて来た、この旅の目的地

「エアーズロック」!!

早くこの手で、エアーズロックに触れたくて、感じたくて、、 自然とペダルを漕ぐスピードは、いつもにも増して早くなっていた。

どんどん近づくに連れ、まだゴールでもないのに、涙が溢れ出てくる。。

そして、今まさに夕日に赤く染まり、燃え上がるようなエアーズロックが間近に現れた。

総走行距離3,500km
シドニーを出てから、95日目。

日本から応援してくれた友人たちや、シドニーで見送ってくれた、みんなの顔が目に浮かぶ。

あまりの強風で、一日に20kmしか進まない日もあった。

砂漠の強靭な植物のおかげで、一日に13回もタイヤがパンクしたこともあった。

朝の気温がマイナス3度になることもあり、心底凍えた日もあった。

途中、膝を痛めてしまい、療養のため、田舎町のホテルで1ヶ月間働かせてもらった。
そこでも人と出会い、学び、励まされた。

道中、車旅の人たちにも、たくさん応援していただいた。

ここでは書ききれない程の思い出が、走馬灯のように駆け巡る。

ただひとつ言えることは、

自分ひとりの力では、決してここまで来れなかった。

本当に、心から感謝しています。

たくさんの想いを胸に、

いざ聖地へ!

最終回  第七回へ つづく

人生観『生きる意味』⑸

『生きる意味』について、第五回。

朝、靴の中に入っているもの、、

それは、『サソリ』だ。

小さいながらも猛毒のサソリに刺されたら、砂漠のミイラと化す。

サソリに刺されて死ぬくらいなら、カンガルーに右パンチをくらって死にたい。

サソリに刺されて死んだら、なんだか悲惨感が漂うが、カンガルーの右パンチなら、笑える。

アチョーーー!!

自転車の旅において、食うことは、ガソリンを補給するようなもの。
ガス欠では、前に進むことができない。

町から町までの砂漠の旅は、米を炊いて、野菜スープを作るのみ。
行動食は、食パンとビスケット。

野菜スープといっても、保存可能な玉ねぎだけ。

小さな町に着けば、ソーセージやチーズなどを食べることができた。

この旅で、先住民アボリジニの人たちとの出会いもいくつかあったが、印象に残っているのは、「塩と砂糖」に関して。

僕は、毎日行動食には食パンやビスケットに、エネルギー補給のためにカロリーが高く、途中のガソリンスタンドでも買える「ジャム」をたっぷり塗って食べていた。

しかし日に日に身体が疲れていく。
次の日も、また次の日も疲れが取れなかった。

あるとき、アボリジニの人たちと食事を共にした時、焚き火で軽く焼いたパンをいただいた。

アボリジニの人たちは、そのパンに甘いジャムではなく、なんと『塩』をふりかけて食べていた!

衝撃のカルチャーショックを受けた。

生まれて此の方、当時、パンに塩をかけて食べている人を見たことがなかったからだ。(塩パンが日本でブームになったのは2015年頃〜)

するとアボリジニは、こう教えてくれた。

「いいか、砂漠では糖分ではなくて、塩分をしっかりとるんだ。塩分は漲るパワーをくれるが、糖分は身体を疲れさせるぞ。」

◻︎◻︎◻︎

※そう言えば、オーストリアには「ベジマイト」というもの凄くしょっぱい朝のトーストに定番のものがある。初めて宿で食べた時は、チョコレートと間違えてパンにたっぷりと塗ってしまった。あまりの衝撃的味に驚いた(笑)


【ベジマイト豆知識】
主な原料=酵母エキス、食塩、麦芽エキス。
ビール醸造の副産物であるビール酵母エキスをベースに、塩や麦芽エキスが加えられて作られています。発酵食品で健康に良いとされているそうです。

◻︎◻︎◻︎

その後、このアドバイスのおかげで、塩分の大切さを知り、積極的に塩をとることで、疲れは激減し、より一日の走行距離をのばすことができた。

さあ、いよいよ待望のエアーズロックの影が、地平線の彼方に現れてきた!

第六回へ つづく

人生観『生きる意味』⑷

『生きる意味』について、第四回。

寝るときは、メインハイウェイから数百メートル、時には数キロ脇道に逸れて、なるべく夜中に走る車や大型輸送トラックの音や灯りが届かないところまで行く。

完全に暗くなる前に、その日の寝床を見つけなければならない。

夜は、あまり動物と対峙しないために、林から少し距離がとれて、開けたところがいい。

ハイウェイから道を逸れると、途端に柔らかい赤砂に変わる。

沈み込むタイヤ。

それを、気合いで漕ぎ進めながら野営場所を探す。

※ちなみに、オーストラリアの舗装路は、日本のそれとは違い、砂利道を走っているかのように目が粗いので、ハイウェイとはいえ、簡単には進めない。

今夜の寝床が決まったら、焚き火用の薪を集める。

パッキパキに乾燥した木ばかりなので、焚き火にはうってつけだ。

ここだけの話、

木がないところでは、ラクダの糞を集めて飯を作る。

オーストラリアの砂漠地帯には、約70万頭のラクダが生息している。

乾いた草食動物の糞は臭くもなく、よく燃えて、砂漠の旅では重宝した。

誰もいないオーストラリアのど真ん中で、満天の星空を眺めがら眠る夜は、最高の幸せを感じられた。

南の空には毎晩、南十字星が見えた。

 

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砂漠には動物だけでなく、いろんな虫がいるわけだが、

特に、昼間は蠅(ハエ)、夜は蟻(アリ)に悩まされた。

オーストラリアのブッシュにいる蠅の生命力は本当に凄まじく、自転車で走っていても、何百キロでも付き纏ってくるし、目・口・鼻・耳の中、、水分を求めて思う存分に入ってくる。

あまりの蠅の多さに、「ハエよけの帽子」を被っている人もよく見かける。

蟻は、やたらとでかくて、噛まれると猛烈に痛い。

そういえば、砂漠の町にいたゴキブリは世界最強にデカかった。

朝起きて、靴を履く前には必ず中をチェックをする。

ヤツがいるかもしれない…

第五回へ つづく