『生きる意味』について、第二回。
少し話は逸れるけれど繋がる、砂漠の旅。
上の写真は、砂漠に突如として現れた広大な「塩湖」。
白いものは全て塩で、乾いた砂漠でもここだけは湿った大地であった。
ここには、地球の歴史を肌で感じられる壮大な景色がある。
毎日が鳥肌の立つような、大自然との出会いの連続だった。
砂漠での距離感は、
今いる地点から、地平線までおよそ10km。
その10km先に到着すれば、また地平線まで10km。
一日に100km〜150kmほどの距離を走り、毎日これを繰り返す。
平坦な大地のようであるが、長く微妙な上り坂と下り坂の繰り返しがほとんどで、この微妙な坂道が自転車には、なんともキツい!笑
遮るものが何もないだけに、風も直に受ける。
季節風にもよるが、この旅では強烈な向かい風の日が多く、前進するにも大きな気力が必要だった。
当然、走りたくない日はある。
それでもひたすらペダルを漕ぎ続け、前に進む。
理由は、「自分の意志でここにいるから」だが、それ以前に、もっと単純な問題に直面する。
それは、食料が尽きてしまうということ。
そんな食料や水は、スーパーがある町が一週間先、なんてこともあったが、簡単なものであれば、数百キロ置きにあるガソリンスタンドの売店で買えた。
水は生命にとって必需品であるが、自転車の旅には、最も重たい荷物となるので、シバテン流 砂漠のサバイバル術では「2ℓのペットボトルを2本のみ」装備する。
水分は取りすぎても疲れるので、日中は必要最低限しか摂らない。
しかし、夜と次の日の朝は自炊をしたり、洗面をしたりするのに水が4ℓ必要なので、寝床を見つける前の夕方には、水を補給しなければならなかった。
実は、およそ100キロ置きに雨水の貯水タンクがあり、節水を心がければ、だれでも使用して良い水がある。
しかしながら、鉄のタンクに入った茶色く濁った貯水は、臭くてほとんど使えなかった。
ではどうするかというと、オーストラリアの砂漠を縦断する道路は、スチュアート・ハイウェイ、ただ一本のみ。
エアーズロックやアリススプリングス、ダーウィンへと向かう、すべての車はこの道を通ることになる。
なので、夕方になると親指を立てて、一時間に数台通るキャンピングカーに合図をする。
過酷な環境である砂漠では、皆が助け合いながら旅をするという暗黙の了解があり、ほとんどの場合一台目で車は止まってくれた。
「どうした?乗っていくか?」
と聞いてくれるキャンピングカーの人たちに、
「水を4ℓ分けてくれませんか?」
と言って、分けていただいていた。
これを毎日必要な時に繰り返すことによって、20ℓもの水を自転車に積まなくてよいというのは、本当に助かった。
オーストラリアのキャンピングカーにはおよそ100ℓ〜200ℓの水タンクが標準装備されている。
なので、4ℓだけ欲しいというと、
「それだけでいいのか?もっと持っていけ!食料は?」
と言ってくれるほど、みんなほんとに心優しくて、感動のしっぱなしだった。
旅は、いつも、出会いと経験と感動をくれる。
第三回へ つづく